06.供給能力を押し上げるにはどうするのか

(1)デフレのときは需要を押し上げる政策をとる

需要が低迷しているデフレ(・低インフレ期)は

本当の財源である供給能力は使わないと減っていくので、供給能力を余らせず活用していくことが重要となってきます。

家計も企業も借金してまで支出する余裕がない状態では、最後の買い手である政府が国債発行でお金を創り(money creation)国内へ支出し、供給能力維持の後押しをする必要があります。

 

2年間で600兆円近く追加で政府支出して、ようやくデフレ脱却目標のインフレ率2%を超えるという参議院・調査情報担当室の調査結果も出ています。本当の財源である供給能力を今後とも維持したかったら、2年間で600兆円近くの政府支出を実施する“必要がある”ということを言っています。

 

この驚くべき調査結果は国内の人々・企業の潜在的な力も示していますし、お金が稼げると分かったら自発的に供給能力に投資し、インフレ率は予想以上に高まらないということも示していると考えます。

現在の各党のコロナ対策の政府支出の追加要求額は多く要求しているれいわ新選組でも200兆円、国民民主党で100兆円と調査結果の600兆円と比べると控えめな金額です。

自民党・公明党の現政権の実際のコロナ対策の政府支出:「真水」部分は60~70兆円(2020年度第一次・第二次補正予算合計)に留まり、世界に誇るべき日本の財源を今後とも守り抜いていこうという意志が“ほんのお気持ち程度”しかないと判断せざるを得ません。

 

①需要落とす消費税はまず廃止の方向へ

消費税は需要の6割を占める消費にかかる“罰金”であり、需要押し上げをするには消費税はなくす方向で考えていくことが必要となります。

消費税廃止のための政府支出はたったの30兆円程度であり、全く問題ない上に本当の財源維持のため使わなくてはならない支出額となります。

 

②生活に余裕のない世帯への直接支援

子育て世帯のような生活に余裕のない世帯は、万一のための貯蓄をすることもほとんど出来ない状態にあります。

生活に余裕のない世帯を救うことは弱者救済という面だけでなく、重要な需要引き上げ効果があります。

政府支出をし民間にお金を流しても消費せずにすぐに貯金されたら、需要引き上げは薄れます。一方で、元から生活に余裕のない世帯への直接支援策は消費行動へと向かいやすく、周りのひと・企業も恩恵を受けることが出来、需要引き上げが期待出来ます。

 

③社会保障を充実させ安心感の持てる社会に

将来不安の大部分の源は“自分や家族が経済的に貧しくなればもう助からない・・”ということから来ています。政府も2019年には年金2000万円問題を取り上げ、貯蓄(金融投資)を推進しています。

「国の借金」の存在を声高に叫んでおきながら、民間貯蓄増による「国の借金」増を肯定する矛盾した構図となっています。

このような物事をよく把握出来ないでその場しのぎで対処するやり方では何も解決はしません。

貯蓄を減らし消費にお金を回して欲しかったら、国内にまん延する将来不安を取り除いてあげることが肝心となります。

将来不安を解消するには自己責任で全て完結するのではなく、精一杯頑張った後は国が面倒を見る、セーフティネット、社会保障の充実が必要となってきます。

更に社会保障の充実は関連する医療・介護・福祉事業の供給能力の底上げにも繋がります。

 

 

(2) インフレ気味になってきたら、供給能力に投資

需要が旺盛となった後のインフレ期は

供給能力を引き上げていく必要が出てきます。

 

①国際的な価格競争力が弱いが供給能力として重要な産業優先で

ひとが暮らしていくには不可欠な産業に関わる供給能力の確保を優先します。

例を挙げると、食料、医療、電気水道ガスのようなライフラインです。

生きていくのに不可欠な供給能力はどのような状況になっても安定した需要があり、需要に対応する供給能力を必要とするためです。

そのような供給能力を輸出頼みにすることは将来的な貿易赤字、更に発展して財政破綻、通貨暴落、ハイパーインフレとなる可能性をあげます。

過去多くの国々が国際的な供給能力を早期につけるのに「選択と集中」をし、原油、観光、プランテーション農業といった単一産業に特化した供給体制を選択し失敗してきました。

国として出来るだけ国内で自給自足出来る体制を整える、その後に供給能力の余剰分を他国に輸出するのが正しい在り方であり、供給能力引き上げの際優先して取り組む必要があります。

 

②将来への安心感と競争心の適度なバランスとなるように

需要低迷するデフレ期に足りないものが「将来への安心感」ですが、需要旺盛となるインフレ期に足りなくなるのが「競争心」です。

頑張っても頑張らなくても変わらないのであれば、頑張らなくなる方に進むのが大部分のひとの常であり、それは国内の停滞、供給能力にも悪影響を及ぼしていきます。供給能力への悪影響が進むと、特に1970年代の英国で見られた年平均10%以上の高インフレ状態にも陥ります。

頑張らなくても健康で文化的な生活を保障した上で、頑張るひとにはもっといい生活が出来るように制度設計をする、、、(更に言うと持てるものが持たざるものを奴隷のような状態にしないようにもする絶妙のバランスが求められます)

このような将来への安心感と競争心のバランスをとる取り組みは現代史において、古典的自由主義→共産主義(西側陣営はケインズ学派)→新自由主義(今)と両極に行き過ぎた状態を取りつつ模索が続けられています。今は困難に見える道ですが、過去の失敗から自己管理の仕方を学び、技術の進歩によりこれまで技術的に出来なかったことが出来るようにし、次の時代は更に心地よいバランスとなるよう目指していけたらと思います。

 

③自然原料を持続的に得られるよう環境問題にも気を配る

これまでの供給能力引き上げには、自然環境というものは軽視されてきました。しかし、今後は自然環境というものは、大切な供給能力の一つである自然原料を産み出すかけがえのないものという経済的な観点も持つ必要があります。

今後の供給能力引き上げにおいては、持続的に自然原料を得られるように、自然保護の分野にも技術開発を進めていき地球との調和を図る必要があります。

 

(3) 税金によって一部にお金が集まりバブルになるのも防止

最後に、以上の政策で政府支出をしていく際、一部だけお金が儲かりやすい産業が必ず出てきます。

インフレ期には欠如しがちとなる「競争心」をなくさない程度の所得税等の累進性の強化は基本となります。

更に、儲かり過ぎの産業は投機化し、実体のある供給能力とは関係のない世界でお金のやり取りがなされます。投機は最終的には崩壊し実際の世界の需要の落ち込みという形で多大なる悪影響を及ぼしますので、投機化しないうちに罰金(税金)付きの規制をかけ早期に芽を摘んでおく必要があります。

需要過多になるインフレ期には、例えば消費税のような直接需要を落とす税制も有効ではあります。しかし、需要を落とす際に一番犠牲になるのは生活の余裕なく全て消費に回さざるを得ない子育て世帯、低収入世帯であり、人道上の観点から出来るだけ避けておきたい政策です。

例えばAIのような技術の進歩での供給体制の一層の強化や現代貨幣理論(MMT)のような学問の周知によってインフレ期に需要を落とす税制を今後は使わずに出来るのであれば、なおよしと考えます。

 

まとめ

デフレのときは需要を押し上げる政策をとる

インフレ気味になってきたら、供給能力に投資

税金によって一部にお金が集まりバブルになるのも防止

 

財源チラシの補足説明は以上です。お読み頂きありがとうございました。

更に理解を深める為に お勧めリンク集も用意してありますので宜しければご活用下さい。